導入事例
全日本空輸株式会社 様 2部

チャットボットをUIとしてあらゆるシステムと連携していきたい 2部

AIカテゴリー チャットボット

企業名全日本空輸株式会社

業種・業態航空運送事業

企業規模2000人以上

導入サービスENOKI5.0 Enterprise

全日本空輸株式会社

橋本 至(デジタル変革室イノベーション推進部)
今井 美弥子(デジタル変革室イノベーション推進部)

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アイフォーカス・ネットワーク株式会社

伊藤 純一(CEO)
川口  岳(COO)

 

川口

先ほど野村さん、永留さんにインタビューさせていただきましたが、実際には担当のお二人の立場だとご苦労されるケースも多いように思いますが、現実はいかがですか?上の方のイメージを受けてそれを具体化し、さらにメンバーと共有化するというのは、やはりどの企業でも課題であると正直感じます。リーダーがイメージを持たれてアウトプットしていくと思いますが、受けた担当者が受けきれないことも、実際ありますよね。

橋本

「こういう方向性なんだろう」と、想像しながら進めています。いきなり100%は吸収はできないので、「この方向性で合っていますか?こういう風に考えたんですけれど」とコミュニケーションをとりながらアドバイスをもらい、軌道修正をしながら進めています。

伊藤

実際、いまのようなお話を形にしていくことができないお客様も沢山いらっしゃいます。野村さんのお話にもありました「案件」というやり方で進めている企業が日本は特に多いので、そこを変える、という考え方についていけないことがとても多いんです。

橋本

私もシステム会社の出身なので、まさに案件ベースでずっとやってきました。イノベーション推進部に来て、考え方を変える必要があるんだなと感じました。チャットボットについても2年以上前に開始する準備を始めていましたが、その前にRPAの導入をスタートしました。それがうまく回り始めて、徐々に社内の様々な部門に浸透し、RPAを一丁目一番地という位置付けで、チャットボットを一丁目二番地のような形で進めてきました。

私もチャットボットに詳しい訳ではなく、まずは勉強から始めました。まずはどんなチャットボットがあるのかを調べ、次に失敗事例を調べました。それはどんな失敗だったのか、どのようなポイントで失敗してしまったのか、という点をたくさん調べました。

伊藤

そのような事例って、公開されていましたか?

橋本

はい、とりあえず記事などを見ながらという感じですが、よくある話ではありました。導入はしてみたが、結局、担当者は使い方が分からず、誰も触らなかったり、メンテナンスに担当者が疲弊してしまうケースなどです。経営者はチャットボットを導入すれば人件費が削れて、他の仕事をみんなができるようになる、自動化でずっと動いているんだから、それさえ置いておけば利用者は満足できる、と思って導入するんです。

このような中で失敗しないというよりは、それをクリアしつつも、さらに新しい価値を創造できるといった状態にする必要がありました。ヘルプデスク型のチャットボットを入れるというテーマではなく、チャットボットをデザインするという視点で、ANAが導入する意味を考えました。

川口

作りなさいではなく、「デザイン」という思考で捉え方がまったく変わるのかもしれませんね。

橋本

マーケットにある決まった要件に対する何かではなく、広がる世界を描けるかだと思います。なかなかそんな仕事したことありませんが。

伊藤

今井さんは、このようなサクセスストーリーは描けていらっしゃいましたか?背景も含め、いかがですか?

今井

私はこのチャットボットの導入プロジェクトに途中から参加したのですが、日頃から案件や仕組みからではなく、人を中心に課題解決を行うということに重点を置いてきましたので、その経験からどれだけバリューを生み出せるかということを考えて進めています。そういった考えがある野村や永留の下で私も2年くらい育ってきましたので、どういう意味があって、その先にどういう活用の可能性があるのかということを考える意識をしています。そういった思想や思考はプロジェクトごとに大きく変わるものではありませんので、あまり先入観もなくプロジェクトの一員になれたという感覚はあります。

川口

デザインをするという意味からすると、二人の間でまずはデザインコンセプトみたいなものをすり合わせて進めるという感じなのでしょうか?

橋本

二人でホワイトボードに書きながら、チャットボットが今後こういう進化をしていくとと面白いね、という絵を何回か描いたりしました。

伊藤

それはメンバーの皆さまに、コンセプトに対して具体的にはどんな課題があるのかをヒアリングをしながらという進め方ですか?

今井

実証実験を進めていくなかでは、プロジェクトメンバーと一緒にワークショップを行って、「目指すところはここ」というゴールを先に共有した上で、じゃあこの実験をしてみようと、検証項目を決めていきました。

川口

ちなみにメンバーの選定っていうのは、どのようにされたのですか?

橋本

特にメンバーの意図的なチョイスはなかったです。ただ、体制としては各部門から集めています。我々はデザインとかコンセプトキープと予算、、そしてグループのシステム会社のANAシステムズのデジタルイノベーション部と、チャットボットの最初の導入部署である社内のヘルプデスクチームの三者でした。そこについては選びましたね。

川口

その選ぶポイントはどんな視点からですか?

橋本

チャットボットを広くデザインしようと思いつつも、やはり最初はヘルプデスク型のボットを知っておかないとその先の進化を見ることができないと思ったので、ベーシックなところから始めました。でも最初からRPAと連携させてみようといったアイデアもありましたので、また少し違うメンバーにも体制に入ってもらいました。一方でその当時、私と今井で別のプロジェクトとして健康管理システムを刷新する取り組みもしていましたので、健康を増進してくれるようなボットを作ろうかという話もしていました。そうするとまた違う部門との連携なるんですが、いきなりそういう変化球を投げるとゴールも分からなくなるので、やはりヘルプデスク型を導入して、失敗せずにちゃんと回る状態から、さらに新しい価値を生み出せる体制を作っていく想定でした。

伊藤

ちなみに「ちゃんと回す」上では、何がキーだったんですか?

橋本

それは「人格を与える」ということです。自分が育てると自分の持ち物になって、自分で運用することになるので、自分で育ててはダメだと思っていました。ですから、敢えてずっと「チャットボット」と表現し続けていました。ところがある日、ヘルプデスクのメンバーから「名前をつけました。“アイちゃん”です」って言われたんです。その時、「勝ったな!」と思いました。ボットの名付け親がいて、その人たちが運営する。愛着を持って育ててくれることで、「ちゃんと回る」と感じました。ボットに限らず、システムはみんなそうだと思います。親がいるシステムはちゃんと続いていく、その辺はシステム屋としての感覚です。

伊藤

多分、送り出すタイミングがうまいと言いますか、勘どころがある気もしますね。

川口

実際のところ紆余曲折はありましたか?テクノロジー的な面、デザイン的な面、人との調整の面、その三つがポイントになってきますし、上の方へのご報告と上の方の考え方を咀嚼するという面でも難しい点があると思うのですが…。また何かテクノロジーがよく分からなくてうまく進まないみたいなことはなかったのですか?なぜこのようなことを聞いたかというと、一般的にはテクノロジーが対応しているかしていないかで議論になるんですよ。多くの会社は手段に走って行きがちなケースが多いので。逆に御社では、そのようなニュアンスをあまり感じませんでした。

橋本

そうですね、答えを自動で登録して欲しかったんです。メンテナンスフリーというテーマがあったので。でもそれは早々に諦めました。気づいたのは、回答案のサジェストはもらえるかもしれないんですが、それで本当に良いのかということです。最後は結局、人の判断になるんです。テキストベースでどこまで伝えるか、という表現のこだわりを判断できるのは人なので。それはやはり人が実施すべき作業なんだと気付き、それをみんな学習と呼んでいるのだと納得しました。

伊藤

いまのお話はとても重要なところですね。全自動なものを買いたい、それなら価値があるというお話になりがちなんです。だいぶ世の中変わってきてはいるんですが、手段で解決したいところがやっぱりまだまだあるかなという気がしています。

川口

あともうひとつ、私が御社で感じたことは、リリースのタイミングが遅延せずに進んでいるなと思ったのですが。

橋本

遅れていくな、ではなくですか?(笑)

川口

いえいえ、現場が上の方からプレッシャーをかけられている雰囲気は感じなかったですよ。

橋本

始めた時は18年度だったので、18年度中にリリースをして、19年度はみんな使っている状態というのを目指しておりましたが、それはなかなか難しかったです。結局、19年度に入る前、3月末には暫定環境ではスタートできましたが、後ろ倒しのスタートでした。スケジュールの遅延について指摘されることはなかったです。それは野村や永留が適切なタイミングで、上層に説明してくれていたからだと思います。プレッシャーを感じずにやるべきことをやれる環境を作ってもらっていたと思います。

川口

私もそのような対応というか配慮を同じように感じました。現場の方に過大なプレッシャーがあると、どうしても本質から外れがちになってしまいます。そこは皆さん責任を持ちながらアウトプットが共有されていましたので、その辺がうまくいく要素なのかなと思っておりました。

橋本

集まったメンバーも良かったんだと思います。本質の理解がうまいメンバーでした。各自社内でハンドリングできることは、その中でうまくコントロールしてくれていました。

伊藤

今日お聞きしているのは、一般的に皆さんが失敗しているところ、悩まれているところだと思います。実際にモノを作ってしまってから、もう一度、弊社のところに戻って来られるケースも多いです。誰かだけが頑張っても難しいものなので、人と人っていうところがやっぱりありますね。そこをどうクリアするのか、、、答えのない世界ですからね。

橋本

「チャットボット」という柔軟な会話をするためのソリューションという特性から、通常のシステム開発にはない、柔軟な対応ができたのかもしれません。先ほどロボット三兄弟の三男という話があったと思うのですが、そういう意味でも多少やんちゃで失敗してもある程度は許される三男坊だったところはありますよね(笑)

川口

その判断については、皆さんでお話をされたんですか?それともお二人で検討されたのですか?

橋本

結構、今井に指摘されました。「この回答文は日本語として適切だろうか?」とか(笑)

川口

やはりこだわりがあったのですか?僕はこの辺が意外に大事だと思っているので。人格っていう側面もあると思いますし。前のお話であったように押し付けになってはいけないとは思いますが、やはり思い入れがあるから伝わるということもありますし。

今井

私がメンバーとして入った時には、もうある程度チームとして出来上がってるタイミングでしたが、ITヘルプデスクチーム(以下 C2)のメンバーが既に愛情を持ってくれていたというところが大きかったと思います。

伊藤

今井さん、橋本さんから見て、C2のメンバーが愛情を注いでくれたのはどうしてだと思われますか?

橋本

C2は既に導入を検討していた製品があったのですが、そこを我々のものに1本化してもらえたことも要因だったと思います。

川口

本体のほうがなぜ選ばれたと思われますか?

橋本

本体の方がスピード感もありましたし、予算も確保できたというのがあります。C2のほうはボットに限らず、自分たちの業務を幅 広く変えていこうと考えているアイテムの一つでしたので、そこでパワーがどうしても分散されてしまったこともありました。

伊藤

他社さんでも他部署が同時並行で別々のものを検討していて、なかなかうまくいかないケースが事実ありまして、予算がつくつかないという要素もやはり大きいかと思います。

川口

日々メンテナンス等をされているかと思いますが、弊社のENOKIを運用されていて、何かご負担になってしまっている点などはありますか?愛情が薄れるようなこととか、、、(笑)

橋本

日々のメンテナンスで回答を加えるとか調整するということは自然とやっていますが、分析はこれからですね。今はC2から月次のレポートをもらっていますけど、新たにこういう問い合わせやニーズをもらいましたので、こういう風に対応しましたというのを提出してもらっています。その分析には手間がかかっていると思うんですが、意味はあって、まさにそれが私たちのやりたかったことなんです。C2に来る問い合わせはだいたい決まっていて、みんな困ることは一緒で、メールと電話で来ます。それがボットになった瞬間にそれとは違うジャンルの問い合わせが入り始めたんです。それは狙い通りだったのですが、みんな知っているだろうと思っていたことを、実は知らなかった人が結構いました。ボットというチャネルがなければ気づけなかったですし、まさに新しい価値になっていくんだと思います。大げさに言えば、それも「デザイン」の一つだと思います。他部門のヘルプデスク業務へ導入すれば、価値創造が横展開されるということになります。

今井

もしかしたらC2サポートという領域、業務を超えているかもしれないなという部分もあるかもしれませんが、いまのプロジェクトメンバーの中では、そのようなプロセスもできているので、良い流れで進んでいます。

伊藤

その辺は大きく変化したところなのかもしれませんね。自然発生的にそういったプロセスが生まれ、積み上がっているというのが素晴らしいですし、良いサイクルで回られているのだと思います。

川口

これはみなさんが責任感を持ってやられているということだと思います。

今井

楽しみながらやっていると思います。

川口

私たちのところには、データ作りの構成について相談も多く寄せられるのですが、場合によっては、ガラッと構成を変えないといけないケースもあったりします。そこを大きく変えられるのも、私たちの製品の特徴ではありますが、ANAさんはそのまったく逆でそのままスムーズに進まれている印象を持っておりました。

今井

C2には、ITに明るいメンバーが多いということもあると思います。今後は様々な部署への横展開に向けて話をしています。エンドユーザーの方もそうですが、今後は必ずしもITリテラシーが高い人が使うとは限らないので、どれだけ愛情と責任感を持って運用してもらえるかは、難しいところだと感じています。

伊藤

そうですね、そこでは何か課題が出てきそうですね。

今井

C2は問い合わせを受け付けるのが専門の部隊なので、そこがヘルプデスク型ボットを時間もかけて成長させていくのは親和性があると思うのですが、これから展開していく部署は、必ずしも問い合わせの受付がメインの業務ではなく、日頃の業務が問い合わせに圧迫されているので、運用をまわしていく難しさが今後は出てくるかなとは思います。

川口

チャットボットに関しては、もう既に次のフェーズに入られている部分もあるかと思いますが、今後の期待または今後こういうことをしていきたいというような目標、ターゲットみたいなものがあれば教えていただけますか?

橋本

横展開はすぐに進めます。また機能追加をして何かのアクションを代行するとか、何かの期限をプッシュをするとか、来年度になるでしょうが、やっていきたいと思っています。一方で悩みどころは、まだ十分に浸透してない点です。これは野村も言っているんですが、認知されてから新しい機能を増やした方が良いと思うんですよね。なので、まずはヘルプデスクとしての価値をグループ内に浸透させて、みんなが使っている状態を目指したいと思います。そのためには横展開も必要ですし、市民権を得ればその効果というのは最大化されるので、4万5千人が常時活用できるようになってから機能追加をしていく順番で進めていきたいと思います。一方で、ボットのノウハウは、コンシューマー向けのボットにも適用していく予定です。

川口

今井さんはどうですか?

今井

一番大きな課題だと思っているのは、どれだけユーザーを増やしていけるかということです。まずは分母を広げていくという活動を来年度も含めて継続的に行っていく必要があると思っています。現在の利用者はデスクワーカーが中心です。弊社は運航業務に関わるパイロット・客室乗務員・整備士・グランドスタッフが、グループ全体の約7割です。その多くがiPadを使っていますので、その人たちにも使ってもらえるようなベストプラクティスを周知していくことに力を入れていきたいと思っています。

伊藤

最後に、今後、我々が皆さまと計画を進めていくにあたり、求められるものなどがあればお聞かせください。

橋本

機能面でいえば、複数ボットの1ダッシュボード化と分析機能です。でも分析機能は機能化しすぎてしまうと一定度の色が付いてしまうから、あえてされていないのかもしれません。

川口

そうですね、データに関しては各社で見たい角度が違うということもありますが、硬くなっちゃうなということで、これなら出来ます、ということを避けたいという気持ちはあります。なぜかというと、ボットの管理者が「この角度で分析すべき」という方向性が出ていないと私は思っていて、それであれば分析したい方向でやっていただいて、「やっぱり違ったんだな」と気づいていただくことがまず必要かなと考えています。それはダッシュボードも同じです。ダッシュボードも皆さんがボットに話しかけることで気づきを得て、仕事を見える化しているということですし、それを解消するために誰でも簡単に扱えるエクセルにしています。分析も同じ考え方です。ですので、元ネタは取っておいて、使いやすい分析、または特化した分析ツールを使っていただいたほうが分かるかなとは思っております。

橋本

あと1点、もう少し長い文章を認識してほしいです。

川口

長いってどれくらいですか?

橋本

ワンセンテンス、25~30文字ぐらいの長さです。そこを拾ってくれなかったという意見が割と多いと思いました。コツを掴めば、単語で割って会話してもらえるんですが、ファーストタッチはなかなか長いです。

川口

そこはいまでも対応できる部分がありますので、これは改めてお打ち合わせをさせていただければと思います。論文や判例事例などの長文対応も過去にやっておりますので。機能面で構いませんので、今井さんはどうですか?

今井

ウェブのブラウザベースのチャットのようなインターフェースの検討もお願いしたいなとは思っています。ハングアウトチャットだと立ちあげてお友達登録が必要なので、そこをもう少し簡易化できると嬉しいなと思います。最近よくECサイトにアクセスすると、右下ぐらいにチャットボットが出てきますよね。そこから質疑ができるので、いつの間にかハングアウトチャットにお友達登録されているとなれば、もう少し利用者も伸びるのではないかなと思います。

川口

それは重要なところですね、我々にとりましても。ウェブから自然に何かグループというか、友達に反映されているっていうのもひとつ必要ですね。それも浸透させるためのプロモーションのひとつになりますからね。それは技術の方でしっかりとサポートさせていただきたいと思います。1つの中で終わらせるというのが、ユーザーとしてのトレンドで、ユーチューブが流行っているのもそのひとつです。ユーチューブはコメントも検索してくれるので。極端な話、グーグル検索使わなくなるんじゃないかとも言われています。ユーチューブですべて完結してしまう、その方が情報量が多いと言われている世界もあるらしいです。ですから、インターフェースって非常に大事だなと思います。

今井

我々もそういう世界を目指して行きたいと思っています。チャットボットをUIとしてあらゆるシステムと連携していきたいという将来像はあります。チャットボットに誘導していくという流れを作り、さらなる利用者の拡大も目指していきたいと思っております。

伊藤

そうですね、ビジョンは広がりますね。今日は貴重なお時間、ありがとうございました。今後もしっかり技術でサポートしてまいります。

 

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