導入事例
全日本空輸株式会社 様 1部

チャットボットをUIとしてあらゆるシステムと連携していきたい 1部

AIカテゴリー チャットボット

企業名全日本空輸株式会社

業種・業態航空運送事業

企業規模2000人以上

導入サービスENOKI5.0 Enterprise

全日本空輸株式会社

野村 泰一(デジタル変革室イノベーション推進部 部長)
永留 幸雄(デジタル変革室イノベーション推進部 担当部長)

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アイフォーカス・ネットワーク株式会社

伊藤 純一(CEO)
川口  岳(COO)

 

伊藤

まずは御社は色々な形で課題解決に向けたイノベーションに取り組んでいらっしゃると思いますが、その辺りをバックグラウンドを含めてお聞かせいただけますか?

野村

昨今、「働き方改革」ということが叫ばれている環境にありますが、いわゆる空港の現場は自動チェックイン機や自動手荷物預け機など、機械化、自動化が進捗しています。一方、間接部門では旧来型の人に頼るような業務の仕方にならざるを得ない状況です。予約・発券業務は、大型のシステム・仕組みによってサポートされていますが、その周辺の業務は、実は何十年もあまり変わっていない部分がありました。

例えば、2006年に導入した国内線の搭乗モデル「SKiPサービス」ですが、これは単なる自動化ではなく、「お客様の時間を大切にする」という“価値”をデザインしています。これが2000年代のデザインです。チェックイン機に立ち寄らずに搭乗できますということだけだと単純な機械化ですが、係員からするとお客様が何時何分にここを通過されたということが記録として分かるため、定時出発に向けたハンドリングを行う上での価値が向上しています。お客様自身がSKiPサービスで搭乗する場合とそうではない場合では、空港に到着する時間が異なります。これは、「お客様の時間」を大切にすることにつながります。他の交通機関ではなく、飛行機に搭乗する最大の目的は時間の短縮です。フライトタイムををこれ以上短くすることは難しいのですが、家を出る時間や会社を出る時間を電車一本遅くできるのは、「お客様の時間を大切にする」という価値があるデザインです。

そこでSKiPサービスをデザインした経験がある私が、間接部門の業務を、人の手をかけずに応答できるものを作りました、と言うだけでは、デザインとしては不足しているのではないかと考えました。

先ほど、予約・発券のような大型システムでカバーしている業務というのは、何十年も前から強固な仕組みになっているのですが、それ以外の業務はそのままだというお話をしました。多くの場合、私たちは大型のシステム・仕組みからとってきた情報を使い、そのデータを解析しながら業務を改善しています。そういった情報の取り扱いについては得意なわけです。でも、ホストコンピューターに入っていない情報に関しては、拾えていなかったという気付きがありました。その周りの業務や従業員の動き方・働き方に関するデータがなかったのです。働き方改革の本質とは、実はそういうところにあるのではないかと思います。

「○○業務を改善します」、「○○業務を効率化します」、「○○業務がシステム化されました」、つまり、すべて主語が「業務」になっていますよね。

でも、実際に業務を動かしているのは「人」なんです。働き方改革は「従業員」を中心に、どのような時に、どううまくいかなかった、おそらくこの問い合わせがヘルプデスクに来るのです。「こんなことで困ったよ」という情報が、現状ですと私たちの中で蓄積されません。

ところがヘルプデスクには、私たちが提供しているものがいまどういう状態にあって、何が課題なんだということを知ることができる。つまり、ホストコンピューターに入っている情報ではなく、実際の現場の中の情報を手にすることができるということです。従業員がストレスなく業務にあたれるということは、その先にいらっしゃるお客様に対していいサービスを提供できるということにつながっていきます。より良いESは、より良いCSを生むというのが私たちの考え方ですので、様々な形で新しいテクノロジーを使って、従来カバーしていなかった業務領域をデザインして、「見えなかった情報」と「持っている情報」をうまく組み合わせながら本質的なサイクルを変えていく。これが、私たちが一番意識していることです。その中のヘルプデスク業務を中心としてチャットボットを導入することにより、私たちに見えていなかった業務に対して携われる、また、掴みきれていなかった情報を手にすることができる点が大きいと思います。

川口

いまデジタルの世界で求められている「人を中心」というキーワードで進めてらっしゃるのですね。

野村

人が機械に置き変わって「○○時間業務が削減されました」というのを気にする人から見れば、それももちろん立派な価値なんですが、それだけだとおそらく何かが空洞化してしまう可能性もあります。

川口

我々の製品もそうなのですが、なるべく「見える化をする」というような言い方で、そこをセールスポイントにもしております。元々、我々も十年以上、それより前からこういったソリューションを提供していますが、私たちのお客様の中でも、同様のテーマがありました。クルマ業界のお客様で言えば、自動運転が広がっていく中、何がドライバーにとって一番のバリューになるのか?これまでクルマ中心で考えていたところを、もっと人中心に考えていかなくてはいけないというお話がありました。まさしく、いまお話いただいたことなんだろうと思いました。

伊藤

「人を中心に」という視点から見ると、SKiPサービスは、非常に分かりやすいと思いました。

野村

時間にすると10分、15分ぐらいを短縮していることになります。フライトタイムをこれだけ短縮するのは、本当に難しいことです。お客様のインサイトとマーケティング的な競争上の価値と、ハンドリングする側のペイポイントをデザインしながら進めています。加えて言えば、用紙が一枚少なくて済みますので、エコでもあります。より多くのステークホルダーを考えながらその意味をデザインしていく、ANAはそういった文化がある会社です。

川口

もうひとつお聞きしたかったのは、働き方も含めて従業員の方に展開していくにあたってどういった組織作り、どういった形でプロジェクトメンバーにマインドや考え方といったものを展開されていったか、ということです。特に工夫されたところなどありますか?

永留

僕にとっては初めてのアプローチだったんですが、昨年のちょうど今頃、管理職で合宿をしたんです。働き方改革に寄与するようなデジタルテクノロジーを率先して広げていこうという標語のもと、その指針をみんなで決めるのではなくて、議論したんです。その中で僕らは働き方改革をもっと加速していかなくてはという結論に至り、野村が「ロボット3兄弟でいくぞ!」と新たな錦を掲げました。

ひとつひとつを案件と捉えて、「いつまでに何をする」といったマイクロマネジメントも必要なのですが、全体として「こちらに向かうぞ」という指針が何より大切です。加えてイノベーションですから、楽しさ、ワクワク感みたいなものも持ちつつ、デザインコンセプトとしてはちゃんとデータをとって、そのデータから自分たちの新しい気付きを得て、次のアクションにつなげていく。このサイクルでまわしていくという意識もできました。デザインの中身はしっかりと捉えつつ、表向きにはその「ロボット3兄弟でいくぞ!」という分かりやすさも大事にしました。

伊藤

それは面白いし、分かりやすいですね。

永留

「ロボット3兄弟」の長男とはリアルロボットのことで、空港の現場などで働くきっちり真面目な長男。次男はいわゆるRPAなんですが、業務をこなしながらうまくつないでいくような役割をします。三男のチャットボットというのは間接部門でありながら、サポートのフロントラインだったりするわけです。フロントラインを助けるのと同時に、つながりを意識しながら部門間の価値を上げるのに寄与する。その辺の流動性が三男には必要なんです。そういった意味で、三男は「やんちゃ」じゃないといけないなと思っています。

野村

「案件ごとではなく」ということなんです。私たちはいわゆるIT部門でして、IT部門にはユーザからの要件があって、その要件を満たすような機能を提供し、それをきちっと運用するのが伝統的な役割だと思います。

ただ、案件単位ではなく、そこから生まれてくるデータを使ってデザインをするんだという話になった場合、要件は存在しないんです。自らが持っているテクノロジーの価値や手にしたデータ等を考えながら、その前後の部分を幅広く考えたり、その適用業務が他の業務にも提供できるのではないかという思考を持つことができると思うんです。要件を元に真面目に仕組みを作って、「誰が対応型で作ったんだ!」と怒られるのであれば、自分たちがイチから未来志向でデザインできるように、片手にデータを持っているような状態を作ることが会社にとってプラスになるはずなんです。塗り固められたデータを作ってしまうと、後からデータを抽出するのも大変だし、建て増しするのも大変なので自分たちの持っているデータを使って二次的なデータが生まれやすいようにしなければいけません。チャットボットでとったデータを使ってRPAが集計し、それをさらにAIがプラスの価値を作っていく様なストーリーを描いています。

もう一点、案件ごとであると、それを任された担当の人間はそれを納品したら終わりで、チーム内で横のコミュニケーションが生まれないんです。その近しいテクノロジーに対して、これをさらに上げてくれるような可能性を部門内でコミュニケーションすることがとても大切だと思います。

伊藤

時間や日程を決めて、定期的なコミュニケーションをとる場などは設定されているのですか?それとも、そのようなことに捕らわれずにされているのですか?

永留

両方あります。先ほど申し上げたように、働き方改革を社内に推進していこうという時に、僕たちの働き方を因数分解すると、「打ち合わせ」が相当数占めているのが見えてきました。ここをデジタルの力で変えられないかと意識する訳なんです。野村からのアイデアなんですが、僕らはGoogleを導入していますので、Hangouts Chatにルームを作って、みんなで書き込むことにしました。週に1回の共有会議で議論されるべき議題だったかもしれないことでもデジタルテクノロジーをうまく使うと、時間や情報の鮮度を担保することができます。自分で体感し、そして今度は僕らが伝道師のように社内に広めていきます。そういったことにもチャレンジしています。

自分たちが成功体験を得れば、それを社内に浸透させることができます。新しいやり方をするのと同時にそれぞれがイノベーション活動をしていますので、私と野村がレビュアーとしての位置付けで、その相談等を時間と場所に捉われない形でフランクに話し合える関係になっていると思います。

野村

要するに、「疎結合」なんです。今日のインタビューは「密結合」ですよね。密結合には密結合の良さはあるんですが、全員が会議に揃うのって難しいですよね。なので疎結合と密結合をうまく両立する仕組みを作ることは重要だと思います。

システムも同じです。APIで連携したり、データ抽出を可能にするというのは、別の言い方をすると、未来に対して疎結合を作っているからつながりやすい、ということなんです。データに対してカギが何重にも掛かっているような仕組みは、業務に対してはもちろん良い効果を発揮します。ただ、未来デザインから考えると、何らか反省しなくてはいけない部分があると思います。

伊藤

そう考えますと、その思考をそのまま仕組みに反映させていると言えますね。

野村

それと共に、IT部門の役割が変わってきています。これを言いたかったんです。案件に対してQCDを死守しながら頑張るというのがうん十年前の役割だったとすると、それとは明らかに違いますよね。IT部門が他の部門にチャットボットを導入したので使いませんか、と声をかけに行くんです。今までこのアプローチはありませんでした。

川口

このような形を作れたら、いま悩まれている他の会社さんもうまくいくのではないかと思いますね。

野村

私たちは少なくともいわゆる旧来型のIT部門と比べると違う動きをしています。ある案件を収めた場合、その価値はその人しか知らないですよね。それが価値あるものであれば、より多くの人に知ってもらったほうが良い。そのお手伝いを我々はしています。

価値を生んでいるのであれば、その先にいる人たちとコミュニケーションをして、伝える努力をすべきだと思います。最初にデザインする時は、ちゃんと使うことも踏まえてデザインした方がもちろん良いですし、この仕組みが全体業務の中でどんどん使われるべきです。でもそこを放棄して、言われた要件通りに盲目的に作ろうとするのは、それはやはり違います。私たちはここを変えようとしているのです。経営トップにも全社にもアピールすることで、健全な働き方改革につながっていくと考えています。やはり自分たちの価値は、自分たちがアピールしないと、システムは何も言わなくても伝わるというほど簡単ではないのです。

伊藤

そうですね、非常に理にかなった正攻法ですね。

野村

ただ、従来の役割の中で機能だけで何かを勝負しようとしてもできません。だから様々なことにチャレンジしています。文化を創造し、プロセスも作っている、仕組みのデザインも変えています。そして、何よりも意識が変わってきています。マインドセットも含めて、私たちは常にイノベーションを意識しています。

川口

お時間になりましたが、まだまだお聞きしたいことが沢山あります。またできれば、第2弾、第3弾と続けていけたらと考えております。本日はありがとうございました。

 

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