これまでは、AIの機械学習・深層学習におけるモデル作成、分析を行うためには専門的な知識が必要でした。しかし、最近ではAIモデルを作成するツールも普及され始めており、比較的簡単にAIモデル作成が行えるようになっています。
今回は、AIモデル作成ツールの魅力と将来性などについてまとめました。
■AIモデル作成ツールを利用するメリット
AIモデル作成ツールの多くは、プログラミング言語を記述する必要がなく、マウスで操作を行うことが可能です。これまでAIの開発は敷居の高いものとして認識されていましたが、効率よく合理的にプロジェクトを進行することができるツールとして注目を集めています。
このAIモデル作成ツールを利用するメリットとして真っ先に挙げられるのが、「コストを削減できること」です。なぜならプログラミングを行わずにAIモデルを作成することができますので、モデル構築におけるプログラマーなどの人件費が軽減されたためです。それによりAIモデルの作成に参加する敷居は低くなってきました。
ノンプログラミングかつマウスでの操作が可能という特徴を持つAIモデル作成ツールは、AIの開発における情報共有にも向いているでしょう。操作が分かりやすいので、知識の少ない人にもAIについて簡単に説明することができるためです。
たとえば、AIについての理解を深めプログラミングを必要とするプロジェクトにおいても技術者と非技術者との意思疎通が図りやすくなるでしょう。
■特徴的な機能を備えるAIモデル作成ツール
最近では特徴的な機能を備えるAIモデル作成ツールが多く普及され始めていますので、ここでは特に特徴的なツールを3つご紹介します。
・Neural Network Console(ソニー株式会社)
ソニー株式会社が提供する「Neural Network Console」は、「ディープラーニングを活用したい」「AI分野での人材育成を行いたい」といったニーズに応えるために開発された「深層学習プログラムの作成ツール」です。このツールの最大の魅力は、やはり「プログラムを書けない人でも気軽にディープラーニングに触れることができる」という点でしょう。
Neural Network Consoleには、初心者でも手厚いサポートが受けられるスターターパックが設けられ、「研修」「テクニカルサポート」の2つが付属しています。そのため、ディープラーニングを初めて学び始めるという人でもしっかりと習得していくことが可能なのです。
より手軽にAIモデルを作成できる上に、ディープラーニングを学ぶまでの環境まで整えられることは大きなメリットといえるでしょう。
(参照:SONY Neural Network Console)
・MatrixFlow(株式会社MatrixFlow)
MatrixFlowは、簡単な操作で機械学習・深層学習(ディープラーニング)のモデルを作成することができるツールです。このツールの最大の特徴は「ドラッグ&ドロップで機械学習・深層学習のモデル構築が行える」という点です。
既に用意されている機械学習・深層学習のレシピをそのまま利用していくことも可能なので、プログラミングの知識が少ない方でも手軽にモデル作成を行えるのです。また、一度作成したモデルはMatrixFlow上で動作確認を行えるため、動作確認の手間も大幅に削減することができます。「人材育成が困難だが、AIモデル作成を行いたい」という場合におすすめのツールといえるでしょう。
(参照:MatrixFlow プログラミング不要のAI構築プラットフォーム)
・RapidMiner(株式会社KSKアナリティクス)
株式会社KSKアナリティクスが提供するRapidMinerは、分析対象となるデータから予測モデルを高速で作成するツールです。これまで機械学習の分析には高度なプログラミング技術が必要でしたが、RapidMinerでは数回のクリックで予測モデルの作成が行えます。また、最適なモデルの「選定」「構築」「評価」においてもプログラムを書く必要がないため、知識の少ない人でも手軽に利用することができるのです。
(参照:株式会社KSKアナリティクス 「RapidMiner」Auto Model機能追加のお知らせ)
■AIモデル作成ツールが人手不足を切り抜けるための重要な鍵に
少子高齢化により人手不足が加速する現代において、AIによる生産性の向上は、もはや必要不可欠なものと言っても過言ではないかもしれません。
「高度なプログラミング技術が必要なものの、肝心の人材を集められない」といったケースは今後さらに増していく可能性もあります。そのような状況を打開する上でも、AIモデル作成を行うツールは大きな価値を持っているのではないでしょうか。