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2019/8/2

匠の技をAIへ継承する、検査用画像認識システムがすごい

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匠の技をAIへ継承する、検査用画像認識システムがすごい|人工知能を搭載した製品・サービスの比較一覧・導入活用事例・資料請求が無料でできるAIポータルメディア

これまで熟練した検査員の目視に頼ってきた外観検査をAI・人工知能で代替すべく、さまざまな検査用画像認識システムが登場しています。匠の技を再現するこれら最新の画像認識システムについてまとめました。

 

■アサヒビールとNEC、画像認識を用いた輸入ワインの中味自動検査機を開発

アサヒビールは2019年5月、NECと共同で画像認識技術を用いた輸入ワインの中味自動検査機を開発したと明らかにしました。
これまで輸入ワインの検査作業は、検査員の目視で行われてきました。瓶を光に透かし、液体に微細な異物が混入していないかをラベルの隙間からチェックするという、繊細かつ熟練した作業が求められます。そのため、現在の輸入ワインの販売数量を検査するのに1ラインあたり10人ほどの検査員が必要とされるといいます。

今回アサヒビールとNECが開発した輸入ワインの中味自動検査機は、現在の検査基準を維持しつつも画像処理技術を活用し、より検査の効率化を図るというものです。

同検査機では、画像認識システムのほか、赤外光照明やカメラも用いて検査を行います。ワインを検査機にかけると、約10秒間瓶が傾斜・旋回します。すると液体に緩やかな渦流が発生し、ラベルに隠れて見えなかったわずかな異物も発見できるというものです。

ワイン瓶のさまざまな形状や、赤ワイン・白ワインなどの液色の違いのデータをあらかじめ登録しておくことで、最適な検査パターンを適用できます。

2019年2月1日に日欧EPAが発効し、欧州連合(EU)産ワインの関税が撤廃されました。そのことで今後ますますワインの輸入量は拡大 し、同時に輸入ワインの中味検査の需要も高まると考えられます。一方で、今後労働力不足が見込まれていることから、検品作業の効率化や作業員のスキルの均一化が求められると予想されます。この輸入ワインの中味自動検査機はこうしたニーズを満たす製品として、今後国内各地の輸入倉庫に導入される計画となっています。

(参照:IoT News アサヒビールとNEC、画像処理技術を活用した「輸入ワイン中味自動検査機」を共同開発 )
(参照:日本経済新聞 日欧EPA、恩恵まずワインから 2019年2月発効 )

 

■沖縄県で生息する希少種のカメを守れ!NTTドコモらが画像認識を用いたカメ識別アプリを開発

沖縄県で生息する希少種のカメを守れ!NTTドコモらが画像認識を用いたカメ識別アプリを開発|人工知能を搭載した製品・サービスの比較一覧・導入活用事例・資料請求が無料でできるAIポータルメディア

画像認識技術を活用した検査システムには、こんなユニークなものも生まれています。

ドコモは「画像認識エンジン」によって、カメの希少種を特定するシステムを開発しました。
そして環境省沖縄奄美自然環境事務所と19年5月、沖縄県に生息している希少な野生動植物の密猟・密輸防止のため、画像認識システム導入に向けた実証実験を開始しました。

リュウキュウヤマガメなどの国の天然記念物に指定されている、沖縄県にのみ生息する3種類の希少なカメを対象に、パトロールの現場や空港などでの荷物検査、郵便局の受付といった場所に導入して密猟・密輸を防ぎます。疑わしいカメを発見したら、スマートフォンのカメラでカメを撮影します。そして、撮影した画像を画像認識エンジンで分析して希少種かどうかを判別します。アプリを開発するにあたって、3種の希少なカメのほかに飼育用として流通している一般的なカメの画像など、1000枚以上のカメの画像をAIに学習させたということです。

沖縄県は日本でも野生の希少種が多く生息する地域として知られています。こうした希少種はマニア向けに高価で取引されているとみられ、近年野生動植物を狙った違法採集が社会問題化しています。このアプリを使用すれば、希少種の知識がない職員でもすぐに特定できるため、島外・国外へのカメの持ち出しを水際で阻止できると期待されています。

(参照:沖縄タイムス 環境省とドコモ、画像認識AIを活用した希少野生動植物の密猟・密輸対策実証実験を開始 )
(参照:日経XTECH AIとカメラで希少なカメを密輸から守れ、畜産テック番外編 )

 

■検査用画像認識システムの用途広がる

検査用画像認識システムの用途はさまざまな分野へと広がりを見せており、その精度も年々向上しています。熟練した検査員のスキルをAIによって再現する検査用画像認識システムは、今後もますます重要になりそうです。