AIsmiley Magazine

AIsmiley編集部によるAI・人工知能サービスの導入事例や活用事例などの情報を記事にしてお届けします

業態業種別-AIの導入活用事例-

最終更新日:2020/1/16

IBMのAI文書検索システム「Watson Discovery」で何ができるの?

  • 編集部記事

IBMが提供するAI文書検索システム「Watson Discovery」で何ができるの?|人工知能を搭載した製品・サービスの比較一覧・導入活用事例・資料請求が無料でできるAIポータルメディア

Watson Discovery とは HTML、PDFといった形式で作成された文書を IBMの人工知能「Watson」 によって、コンテンツを検索するシステムです。2018年6月より日本語がフルサポート されるようになったことで、今後国内でも利用が広がると見られます。

そんなWatson Discoveryには、具体的にどのような機能が備わっているのでしょうか。また、どのような業務に活用していくことができるのでしょうか。今回は、Watson Discoveryの機能や活用方法を詳しくご紹介していきます。

■AI文書検索システム「Watson Discovery」の主な3機能

Watson Discoveryの主な3つの機能として、文書取込(クローラ)機能、エンリッチ機能、クエリー機能があります。それぞれの機能の概要は次の通りです。

 

  • Watson Discoveryの機能1:文書取込機能(クローラ) (Crawler)

「管理UIからの取り込み」「 APIからの取り込み」「クローラからの取り込み」の3パターンが可能です。前者2パターンはPDF/WORD/HTML/JSONの各形式をサポートし、クローラからの取り込みに関しては、テキストファイル、HTML、DBデータなどを取り込むことが可能です。

 

  • Watson Discoveryの機能2:エンリッチ機能 (Enrich)

エンリッチ機能では、対象の文書がどんな文書なのかを簡潔に表す「タグ」を付加できます。付加情報には、人名や場所、企業名、重要キーワード、コンセプト、分類などがあります。エンリッチされたメタ情報を検索条件として使うことで、通常の検索エンジンよりも高度かつ迅速な検索が可能になります。

その仕組みは、Watson Discoveryに文章の内容を理解させながら解析し、その概要などをメタ情報として元の文章に加えていくというものです。これはクローラから取得した文書をWatson Discoveryに登録する際に、「Natural Language Understanding(ナチュラル・ランゲージ・アンダースタンディグ)」という自然言語解析を行うためのAPIを呼び出すことによって実現しています。

 

  • Watson Discoveryの機能3:クエリー機能 (Query)

利用目的に応じてさまざまな種類のクエリー(検索文)を発行することができます。クエリー機能で検索することで、ただの情報検索ではなくデータから知見を得ることが可能になります。例えば、大量のニュース記事を読み込んで傾向を分析する、経営情報をもとに企業分析を行う、なんらかの異常検知を行うといったこともできます。

また、通常のキーワード検索に加え、話し言葉のような自然文での検索も可能です。これによって、チャットボットのようなAIによる自動応答の仕組みとして活用することもできるでしょう。

(参照:IBM Watson Discovery オフィシャルサイトより)

 

■AI文書検索システム「Watson Discovery」で何ができるの?

ibm-watson-discovery|人工知能を搭載した製品・サービスの比較一覧・導入活用事例・資料請求が無料でできるAIポータルメディア

(参照:IBM Watson Discovery オフィシャルサイトより)

Watson Discoveryの適用領域として、IBMでは以下の例を挙げています。

 

  • 営業支援:企業情報の検索、クロス/アップセル、商品知識の共有

  • 研究開発:商品企画や新製品テスト、新素材開発

  • 製造品質:故障事象から原因を探り、不具合の早期対応をする

  • 経営:企業分析や買収・投資対象の決定、セキュリティ対策

  • マーケティング:コールセンターで顧客の声(VOC)を分析する。最新トレンドの分析、ブランド管理

  • 顧客サポート:会話ログからクレームの傾向を探る、データベースから商品の照会を迅速に行う

  • 調達購買:取引先の調査、企業ニュースの分析

  • 法務・知財:法規制の遵守、膨大な判例や特許情報の分析

 

Watson DiscoveryなどWatsonの導入で成果を出している企業として、JR東日本の事例があります。同社のコールセンターで1日に処理する問い合わせ数はおよそ数千~数万件になりますが、Watsonにより大幅に効率化しました。

まずWatsonの音声認識機能「IBM Watson Speech to Text」に顧客の声を入力し、テキスト化し、これをWatson Discoveryに引き渡し、質問に対する回答候補を探し出します。

一方のWatson Discoveryにはあらかじめ、よくある質問(FAQ)への回答やそしてオペレーターは、Watsonが選んだ回答候補を参照して、質問に答えます。Watsonの導入で、1件の電話応答に対して回答時間を3割減らしたオペレーターもいるといい、業務時間内で対応できる電話の件数は2割増えたそうです。

(参照:日経XTECH コールセンター応対時間を3割減、Watsonで成果出すJR東日本)

 

■Watson DiscoveryとWatson Assistantとの違い

■Watson Assistantとの違い|人工知能を搭載した製品・サービスの比較一覧・導入活用事例・資料請求が無料でできるAIポータルメディア

Watsonには、情報を探し出すことができる機能として、「Watson Discovery」以外にも「Watson Assistant」という機能が存在します。これら二つはどのような違いがあるのでしょうか。

大きな違いとしては、「Watson Assistantは回答件数が多い場合の分類が困難になる」という点が挙げられるでしょう。「Watson Assistant」には、問い合わせ内容の意図を分類するintent機能が備わっているため、チャットボットでの問い合わせなどに適していると言われています。

これは「Watson Discovery」には備わっていない機能であるため一見大きなメリットに感じられますが、「Watson Assistant」が意図の分類を行うことができるintentは最大2000までとなっているため、回答件数が膨大な場合は「よくある質問」といった形で回答候補を提示したほうが良いといえるわけです。

(参照:アイマガジン Watson Discovery Service ~質問と回答の類似性に焦点を当て、回答候補をランキング提示する)

 

Watson搭載のサービス比較と企業一覧を見る

 

■Watson Discoveryを活用する上で課題となるもの

また、Watson Discoveryを有効活用していくためには、事前に確認しておかなければならない点も存在します。それは、「その検索精度がしっかりと要件を満たせるのか」という点です。

例えば、「検索結果の上位○位以内に、検索する文書が何%含まれているのか」といった形で検索を行うことがありますが、もちろんこの場合の具体的な数値は利用するケースによって異なるでしょう。ただ、Watson Discoveryでは、「使用するユーザーにとって最適といえる解答候補が、上位何位までに表示されるか」という部分が検証における重要な軸になると考えられています。

そのため、「サンプルテキスト」「そのテキストで検索する回答候補の文書」「その文書に紐付けしたテキストデータ」といったものを用意し、検索結果から「期待通りの回答候補は上位何位以内に入ったのか」を集計していくわけです。

なお、Watson Discoveryの検索精度がどれくらいなのか確かめるためには、回答となる文書データと検索や評価を行うためのテストデータが必要になります。これら2つをベースにして、トレーニングなどを行い精度の向上を図っていくのです。

そして、検証の評価方法としては、それぞれのテストデータの検索結果を取り込んで集計し、「検索結果の上位○位以内に期待する文書が何%含まれているのか」を測定するというものになります。

 

■ウィンブルドン2017でも活躍した「Watson Discovery」

■ウィンブルドン2017でも活躍した「Watson Discovery」|人工知能を搭載した製品・サービスの比較一覧・導入活用事例・資料請求が無料でできるAIポータルメディア

そんな「Watson Discovery」ですが、ウィンブルドン2017でも活用されるなど、さまざまな分野での活用が広まっています。IBMはウィンブルドン選手権のオフィシャル・テクノロジー・サプライヤーということもあり、大会のホームページ制作やモバイル・アプリケーションの開発などに携わっています。

その一環で、2017年の大会では出場選手をいくつかの指標で評価するという実験が行われました。この「いくつかの指標」というのは、主に「スタミナ」「サーブの有効性」「プレッシャーを感じている中でのパフォーマンス」などです。これらの指標は「Watson Discovery」を用いて、過去22年間の大会で蓄積された非構造化データを解析した結果、選ばれたものだといいます。

そして、この分析結果をTwitterやFacebookなどのSNSに掲載し、メディアに公開することで、より大会の魅力や出場選手の魅力を伝えることに成功したのです。

また、2017年に登場した「Ask Fred」というチャットボットも注目すべきポイントでしょう。「Ask Fred」は、テニス界の名プレーヤーであるフレッド・ペリーにちなんで名付けられたもので、もちろんWatson Discoveryの技術が用いられています。そんな「Ask Fred」は、Watsonの認知技術の精鋭を集めて開発されており、イギリスの代表的なスイーツであるストロベリークリームや記念品などを販売している売店を案内するサポートなどを行い、アシスタントとして大きな貢献をしたのです。

(参照:IBM THINK Business ウィンブルドンでも活躍!「Watson Discovery」活用法)

 

■適切な情報を探し出す「検索力」をAIがサポート

デジタル技術の発達で膨大なデータが取り扱えるようになった現在、データの海から適切な情報を探し出す「検索力」が求められるようになっています。

しかし、紙のデータのように保管場所を気にすることが必要なくなっても、その保管したデータを瞬時に探し出すことができなければ、本当の意味で「効率化」を図れているとはいえません。

IBMが提案するAI文書検索システム「Watson Discovery」は、大量のデータを素早く検索するだけでなく、AIのWatsonが質問内容をより深く洞察することによって、より正確な回答を導き出すことが可能です。さらに、データから知見を導き出すといった高度な使い方も想定することができます。

より効率的に、データの保管や検索を行えるかどうかは、大量のデータを取り扱う企業の成功を左右する鍵になるといえるでしょう。まさに、「Watson Discovery」はその成功を左右する存在といえるかもしれません。

多くの企業が人手不足という問題を抱えている現代において、業務効率化と生産性向上は極めて大きな課題といっても過言ではないでしょう。そのためにも、いかに「Watson Discovery」をはじめとするAIを有効活用できるかどうかが重要になります。ぜひこの機会に、データ管理における業務効率化の促進として、「Watson Discovery」をはじめとする文書検索システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
 

AI検索システムのサービス比較と企業一覧を見る

 

この記事で紹介されたAIサービスを無料で資料請求