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Yahoo!知恵袋の担当者が語る、ヤフーが独自開発したレコメンドAIを導入した理由

最終更新日:2024/04/10

「Yahoo!知恵袋」はユーザー個別の閲覧履歴を分析し、そのユーザーが回答できそうな質問を予測して掲出するレコメンドAIを導入しました。

今回はヤフー株式会社でYahoo!知恵袋の担当者とヤフーのAIエンジン開発者に導入経緯や今後の展望を伺いました。

多様性ある回答で多くの悩みを解決したい

――いつもYahoo!知恵袋を利用させていただいています。今回のAIを導入した目的を教えてください。

COOバーティカル統括本部 Yahoo!知恵袋 企画デザイン
牧野 和輝 氏

――牧野氏

今回、レコメンドAIを導入することによって、質問者と回答者が使いやすい環境を目指しました。Yahoo!知恵袋は参加している方がお互いに知恵や知識をQ&Aで共有できる2005年に開始したサービスです。実際にYahoo!知恵袋を使ったことのあるお客様の中には、質問をしたけれど最後まで回答がつかなかったという経験をされた方もいると思います。

知恵袋は質問してから7日間経っても回答が0件だった場合、その質問を自動的に削除するシステムを導入しています。質問者目線では、せっかく質問を投稿しても、誰からの回答もつかずに回答募集が終了してしまうことは珍しくありません。日々多くの質問が知恵袋上に投稿されるため、質問は時間の経過とともに埋もれてしまいます。

また、回答者は自分で回答できそうな質問を探す必要がありました。自分の知識や経験を共有できそうな質問が見つからずにサイトを離脱してしまう方もいらっしゃいます。質問者は回答がつけばニーズは満たせますが、回答者はインセンティブもなく、善意で参加してくださっています。ですから、回答者が使いやすい、もっと使いたくなるようなUIを提供していきたいと考えております。


――確かに、回答する時間と同じくらい質問探しには時間を使います。

COOバーティカル統括本部 Yahoo!知恵袋 サービスマネージャー
竹浪 貴幸 氏

――竹浪氏

知恵袋は、何か悩みがあるユーザー様に対して、その悩みをいかに解決してあげるかと、その悩みを解決して質問者が次の行動に踏み出せるかというポイントをサービスとして大切にしています。

ですが、同じような悩みを抱えている方も閲覧者として多様な答えを求めて知恵袋に訪れます。閲覧者ごとに悩みのシチュエーションは若干異なるため、回答していただける方を増やして、ベストアンサー以外にも回答に多様性を持たせて多くの悩みを解決したいと考えておりました。

そこで、今回導入したAIではユーザー様が興味関心のありそうな質問をレコメンドし、回答がつきやすい環境を提供します。


――悩みは一人ひとり違うので通常回答が閲覧者にとってのベストアンサーになる可能性は十分あり得ますよね。

閲覧履歴からAIがおすすめの質問を回答者に掲出

――今回導入したAIについて仕組みや特徴を教えてください。

テクノロジーグループ サイエンス統括本部 リーダー
大和田 裕亮 氏

――大和田氏

今回知恵袋に導入したAIは、Yahoo! JAPAN IDごとに知恵袋の閲覧履歴から、ディープニューラルネットワーク(DNN)を使用して、次に閲覧するアイテムを予測してレコメンドします。 特徴としては、レコメンド候補に出す質問を、ある程度事前に絞り込んだ上で、候補の質問のスコアを一気に予測する多クラス分類で処理しています。

まず初めに候補の質問をある程度の数まで絞り込みます。この時に使うのは直近での閲覧数などの情報がメインで、文章内容やカテゴリを使って似た質問のみに絞り込むようなことは行っていません。その後にDNN で候補の質問をスコアリングしてレコメンドします。最初に候補の質問を絞りすぎないことで多様な回答の可能性を残しつつ、多くの閲覧履歴を精度よく学習することができます。


ディープニューラルネットワーク(DNN):人間の脳内にある神経細胞(ニューロン)を模したニューラルネットワークに隠れ層を増やしたモデル

レコメンドする質問は、「回答募集中」コーナーの「おすすめ」タブに表示。Yahoo! JAPAN ID未ログイン時、ユーザー個別のパーソナライズは行われません。

――知恵袋の利便性が向上しそうですね。今後の展望について教えてください。

――牧野氏

現在は知恵袋上の閲覧履歴のみを参照してAIがレコメンドしております。知恵袋にはユーザー様ごとの回答履歴もありますから、回答履歴のデータを活用してよりユーザー様の回答行動に沿った形でマッチングの質を高めていきたいです。

 

――竹浪氏

知恵袋は悩みがそのままの形で書かれているため、悩みの意図が伝わりやすいサービスだと思っております。ですから、冒頭で申し上げた「7日間経っても質問に回答がつかない」課題に対して、質問の意図を分析してレコメンドの精度を高めたいと考えております。

また、プライバシーなど様々な問題がありますが、可能であればヤフーにあるたくさんのアセットを活用し、答えを持っている方に対してこちらから回答をお願いできる仕組みの構築を取り組みたいです。

テクノロジーグループ サイエンス統括本部 リーダー
山本 康生 氏

――山本氏

今回は、ヤフーが独自に開発した汎用的なレコメンデーションエンジンを知恵袋に導入しました。汎用的なエンジンはスムーズに導入ができる反面、人間の感情を読み取って、質問や回答の意図を深く掘り下げた提案をすることはまだできません。ヤフーはグループ全体で100以上のサービスを展開しております。ですから、まずはAIの力をグループ全体に広げるために汎用的なレコメンデーションエンジンは必要です。もちろん、私たちはその改良にも日々取り組んでいます。

Yahoo! JAPAN – サービス一覧

 

ユーザー同士が「助け合う」安心安全かつ使いやすい知恵袋に

――私も日頃、Yahoo!ニュースやヤフオク、PayPayなどを利用しています。これらのサービスデータを連携できるとレコメンドの精度は上がりそうですね。AIによる利便性の向上の他に取り組まれていることはございますか。

――竹浪氏

知恵袋の全体的な課題として、誹謗中傷や不正利用の問題が挙げられます。これらの対策にも機械学習を活用しています。適切ではない回答については、不適切であることが分かる形で折りたたみ、低品質と判定された投稿を重点的にパトロールしています。

こういった形で機械学習やAIを活用して、皆さんが知恵袋をより安心安全に使っていただくような環境に整えていく取り組みを行っています。今後は運用中の汎用型AIモデルに加えて、個別に具体化した案件に対応可能なAIモデルを作って、よりきめ細かな不適切投稿に対応できるサービスにしていけるよう検討中です。

――貴重なお話ありがとうございました。安心安全と利便性の両立は大切ですね。私もカテゴリマスター目指して回答に専念します!

誰もが一度は耳にしたことがあるであろう「Yahoo!知恵袋」。ユーザー同士の助け合いの場の裏側を覗いてみるとたくさんの思いや先端技術が詰まっていました。今回導入したレコメンドAIは、回答者の利便性が向上し、解決されずに削除されていく質問を減らす役割を担っています。

私たちユーザー一人ひとりが悩みや知識を知恵袋で共有し、自分自身の声を発信していくことで知恵袋がより良いサービスに成長するのではないでしょうか。

 

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中村 優斗

中央大学法学部を経てAIsmileyにジョイン。国内外のAIトピックを日々ウォッチ。2級知的財産管理技能士、日本ディープラーニング協会 (JDLA) G検定2021#2取得、JDLA Generative AI TEST 2023 #1合格。経済産業省主催のデジタル推進人材育成プログラム「マナビDX Quest」2022年度第1ターム「ケーススタディ教育プログラム」Gold修了証。CDLEコアメンバー、「DX情報交換チャンネル」と「DX情報交換+グループ」を運営。

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