AIsmiley Magazine

AIsmiley編集部によるAI・人工知能サービスの導入事例や活用事例などの情報を記事にしてお届けします

ディズニーパークやピクサー映画で活用が進むAI技術

  • 編集部記事

映画や音楽、テーマパークなど世界一流のエンターテインメントを提供するディズニー。今回は魔法が生まれる裏側で活躍するAI・人工知能をご紹介します。

■ディズニーのAI研究機関「Disney Research」(ディズニー・リサーチ)

Disney Researchは、The Walt Disney Companyをサポートする研究所のネットワークです。科学技術で会社の幅広いメディアとエンターテインメントの取り組みを前進させることを目的に設立されました。

研究トピックは、CG、アニメーション、ビデオ処理、コンピュータービジョン、ロボット工学、ワイヤレスおよびモバイルコンピューティング、人間とコンピューターの相互作用、行動経済学、AI・人工知能、機械学習などの技術です。

ロサンゼルス、ピッツバーグ、チューリッヒなどに拠点があり、サンフランシスコ (エメリービル) のピクサーやLucasfilm(ルーカスフィルム)のVFX部門Industrial Light & Magic (ILM)のリサーチグループと連携しています。

 

 

最近では、本物のスタントマンのような動きが可能な「スタントロニクス」と呼ばれるロボットをディズニー・リサーチとウォルト・ディズニー・イマジニアリングが開発しました。ディズニー・カリフォルニア・アドベンチャーにオープンした「アベンジャーズ・キャンパス」のスパイダーマンが登場するアトモスフィア・エンターテイメントに使用されており、話題を呼んでいます。

 

■ピクサー映画の製作にAI導入で製作時間で大幅短縮

ピクサーは『トイ・ストーリー』や『モンスターズ・インク』など観る人の心を掴む人気作品を作り出してきました。3DCGアニメーションで世界を驚かせたピクサーの最新作の制作現場ではAIが使われ始めています。2017年、ピクサーとディズニー・リサーチはCGアニメーションの仕上げに必須なレンダリングに関する論文を発表しました。

 

出典:https://la.disneyresearch.com/publication/deep-learning-denoising/

 

レンダリングとはCGアニメーションの制作パイプラインの最後の工程です。モデリングやリギング、ライティングなどを経て構築されたバーチャルな3Dシーンを2Dイメージ画像に変換します。具体的には1フレームごとにイメージ画像のピクセルの色を指定していく作業で、アニメーション1秒に対して24フレーム必要な場合、本編90分の作品では約13万フレームのレンダリング処理が必要です。

4K UHDブルーレイディスクも市場に多く出回るようになりました。ピクサー長編アニメーション第1作目『トイ・ストーリー』のピクセル数は100万ほどでしたが、4K画質では約800万ピクセル数 (画素数) まで跳ね上がっています。技術が進歩した現在でも非常に労力と時間のかかるプロセスです。

ピクサーとディズニー・リサーチはレンダリングのスピードを向上させるべく、『ファインディング・ドリー』の何百万ものをデータを使用して、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)として知られる深層学習(ディープラーニング)モデルを開発しました。ノイズの多い画像を上記写真のようなノイズのない画像に変換します。

『カーズ3』や、『リメンバー・ミー』など、異なったスタイルやカラーパレットを使用していても、テスト画像のノイズを完全に除去することができました。

 

 

ピクサーのテクニカルディレクターであるVaibhav Vavilalaは、VB Transform 2020でGANを活用した超解像手法を解説しています。Vavilala氏曰く、4K映像のレンダリングは従来の4倍のピクセル数と2倍のコストがかかるそうです。最新のAIモデルでは、画像を1Kでレンダリングし、2Kにアップスケールすると、処理にかかるフットプリントを50%から75%節約できることが実証されました。

AIによるレンダリングの最適化はGG映像の編集に必須のツールになっていくことでしょう。

 

■アベンジャーズの宿敵サノスの顔にもAI活用

 

2018年に公開されたマーベル・スタジオ映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』でジョシュ・ブローリンが演じた、宇宙で最も強力な悪役サノスの撮影にもAI技術が利用されています。サノスはインフィニティ・ウォーで冒頭から40分以上出演する主要キャラクターであるため、キャラクターとして表情の個性を表現できるかは映画の出来にも関わります。

サノスの撮影は、チューリッヒのディズニー・リサーチが開発した「Medusa Performance Capture System,」が使われました。複数のカメラを使用して、150箇所ほどの印をつけた顔を撮影し続けてデータを取得します。

制作を担当したデジタルドメイン社はメデューサで生成したデータを自社開発のマシンラーニングツール「Masquerade」に落とし込み、AIの機械学習を活用して、俳優の顔のデジタルバージョンを高解像度で正確に出力しています。一連のプロセスは『アベンジャーズ/エンドゲーム』に登場するスマートハルクの撮影にも応用されました。

 

■ディズニーのテーマパークでも最適なプラン案内アプリにレコメンドAIを活用か

2019年夏に米カリフォルニア アナハイムコンベンションセンターで「D23 Expo 2019」が開催されました。3日目のセッションにて、ディズニーのパーク部門のトップ(現CEO)であるボブ・チェイペックは「Disney Genie」と呼ばれるゲスト一人一人に最適なリゾートプランを提案するアプリを1枚のイラストとともに発表しました。

 

筆者撮影(2019年8月25日)

 

このアプリは、ゲストの宿泊情報やチケットの情報などを管理する「My Disney Experience」と連携し、初めて訪れる方でもリピーターでも楽しめる最適な1日のプランをおすすめして旅行の計画をサポートします。

具体的にはディズニープリンセスをテーマにした1日や食をテーマにしたプランなどゲストの興味に合わせて何百万ものオプションからカスタマイズされた旅程をレコメンド。ジーニーに趣味嗜好を伝えることでよりパーソナライズされたプランが提案されています。プランに含まれるレストランやショー、アトラクション等の予約もジーニーが自動で予約処理してくれます。

発表時、「AI」が用いられることはアナウンスされていませんが、the disney food blogによると、「バーチャルエージェントによる人間のような感情に基づく行動シミュレーション」に関する特許を2020年に申請していることなどからAI・人工知能の活用が予想されます。日本経済新聞によると、東京ディズニーリゾートでもこれに似た機能の追加を検討しているようです。

 

パークや映画で私たちを楽しませてくれるディズニーですが、そこには多くの最新技術が使われていました。2045年にはAIが私たちの知能を超えるシンギュラリティ (技術的特異点) が訪れるといわれています。もしかするとディズニーパークのキャラクターが不自然なくロボットに置き換わる時代も近づいているのかもしれません。

 

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