近年はAI・人工知能への注目度が高まっており、さまざまな分野の業界でもAIを導入する動きが見られます。そのため、少しずつ私たちにとって欠かせない存在になりつつあると言っても過言ではないでしょう。
現在は、さまざまな形でAIを活用した製品(サービス)が登場していますが、その中でもチャットボットは特に多くの人々から注目を集めている存在のひとつです。ただ、チャットボットが非常に便利なものであることは理解できていても、実際の開発方法までは想像できていない方が多いのではないでしょうか。一見複雑に思われがちなチャットボットですが、実はそこまで複雑なものではないのです。
そこで今回は、チャットボットの仕組みについて詳しく解説していくとともに、チャットボット開発が行えるツールについてもご紹介していきます。ぜひ参考にしてみてください。
■チャットボットの基本と種類
チャットボットは、AIを活用した対話型ロボットのことです。最近では多くの企業が導入しており、顧客からの問い合わせ対応や、顧客一人ひとりに合わせた情報提供などといった形で活用しています。
より身近な存在としては、iPhoneのSiriなどがイメージしやすいのではないでしょうか。ネットワーク上で会話を行うことができるロボットのことを、総称してチャットボットと呼ぶわけです。
ただ、Siriのように音声でコミュニケーションを図れるチャットボットもあれば、文章によってコミュニケーションを図れるチャットボット存在します。ECサイト(通販サイト)をはじめ多くのサイトに設置されるようになったチャット形式の問い合わせフォームなどは、まさに文章型のチャットボットに該当するわけです。
このように、チャットボットはさまざまな形で私たちの日常生活に浸透し始めているのですが、具体的には以下のような6つの種類に分けることができます。
1.ECレコメンド型チャットボット
顧客一人ひとりの購買傾向をもとに、適切な商品を適切なタイミングで提案していくことができるチャットボットです。
2.タスク管理型チャットボット
ToDoに対するスケジューリングを行ったりアラートを行ったりすることができるチャットボットです。
3.特定情報提供型チャットボット
天候、交通情報、レストラン情報など、特定の条件のもとで最適な情報提供を行うことができるチャットボットです。
4.カスタマーサポート型
顧客が商品(サービス)に関する相談や質問をした際の一次対応を行うことができるチャットボットです。
5.アンケート型チャットボット
ユーザーが求めている情報を対話形式で提供していくことができるチャットボットです。
6.雑談対話型チャットボット
情報提供や販促といった特定の目的を持たずに、ボットとのコミュニケーションそのものを楽しむためのチャットボットです。
■チャットボット開発に欠かせない「フレームワーク」とは
チャットボットにはさまざまな種類が存在することがお分かりいただけたかと思います。
実際にチャットボットを利用する場合には、提供されているサービスをそのまま利用する方法と、開発ツールを利用して独自のチャットボットを作成する方法が存在します。
当然、提供されているサービスを利用する場合は1から開発する必要がないため、開発のための専門的な知識も必要ありません。一方で、チャットボットを開発するためにはプログラミング言語や機械学習アルゴリズムに関する知識が必要になります。その開発作業を行う上で欠かせないのが「フレームワーク」というものです。
フレームワークとは、AIアプリやサービスを開発する際に用いる部品集のことで、これを利用することで効率的に開発を進めていくことができます。具体的なフレームワークの使い方としては、pythonなどのプログラミング言語によってフレームワークの各部品を呼び出すというものです。
主なフレームワークとしては、以下のようなものが挙げられます。
・TensorFlow(Google)
圧倒的な利用者数を誇るフレームワークです。巨大なコミュニティとしても知られています。また、ライブラリが豊富で高速処理できる点も大きな特徴です。
・Chainer(Pregerred Networks)
日本製のフレームワークです。python向けなので、初心者でも使用しやすい点は大きな特徴といえるでしょう。
・Keras
比較的構造が簡単なフレームワークです。ただしその反面、処理の複雑さがデメリットであり、コード記述からは処理内容を理解できない点には注意する必要があります。
・PyTorch(Facebook)
論文を発表する研究者が多く存在するフレームワークです。深層学習(ディープラーニング)手法の実装事例なども入手することができます。
・Cognitive Toolkit(Microsoft)
高速処理が大きな特徴のフレームワークです。
■プログラミング不要のチャットボット開発ツール
先にご紹介した開発ツールにはプログラミングの専門知識が求められますが、専門知識が必要ない開発ツールも存在します。いくつか代表的なチャットボット開発ツールをみていきましょう。
・IBM Watson
IBMが提供しているWatsonは、クイズ王とのクイズバトルに勝利した実績や、医学論文を読み込ませることで病気の診断を行った実績など、チャットボット開発ツールの中でも特に多くの実績を持っているツールです。また、自然言語処理に強いのも特徴で、音声変換などのAIツールが充実している点も魅力のひとつといえるでしょう。
・Repl-AI
Repl-AIは、NTTが提供しているチャットボット開発ツールです。大きな特徴としては、あいまいな表現の認識、過去の会話の記憶に優れている点が挙げられます。また、雑談機能によってナチュラルな会話を継続できる点も大きな特徴といえるでしょう。操作性に優れているのも大きな魅力で、ドラッグ&ドロップにより簡単にシナリオを作成することも可能です。有料版は月額5,000円から用意されていますが、無料版も存在するため、無料版を試してから有料版を検討していくという使い方でも良いでしょう。
■チャットボット開発ツールで業務効率化を進めよう
今回は、チャットボット開発ツールの種類や特徴などについてご紹介しました。プログラミングの専門知識が求められる開発ツールも存在しますが、専門知識が必要ない開発ツールも存在しますので、ぜひこの機会にチャットボット開発ツールに触れてみてはいかがでしょうか。開発の仕組みから理解した上でチャットボットを活用し、さらなる業務効率化を目指していきましょう。