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最終更新日:2020/1/27

進化を続ける「工場×IoT」。製造業のボトルネックを解決する異常検知とは?

  • 編集部記事

進化を続ける「工場×IoT」。製造業のボトルネックを解決する異常検知とは|人工知能を搭載した製品・サービスの比較一覧・導入活用事例・資料請求が無料でできるAIポータルメディア

近年は、PCやスマホといった機器だけでなく、冷蔵庫や洗濯機、スピーカーなどもインターネット接続できる「IoT(Internet of Things)」に大きな注目が集まっています。そしてそれは、モノづくりの拠点である工場においても言えることで、近年は工場内の機器でもIoT化が進んでいるのです。

では、工場でのIT化が進むことによって、具体的にどのような変化が生まれるのでしょうか。また、どのようなメリットがあるのでしょうか。今回は、工場のIoT化によって生まれる変化や、IoTによって高い安全性を実現する「異常検知」について詳しくご紹介していきます。

■工場内で用いられるIoTの用途とは?

■工場内で用いられるIoTの用途とは|人工知能を搭載した製品・サービスの比較一覧・導入活用事例・資料請求が無料でできるAIポータルメディア

冒頭でご紹介したIoTですが、工場内の機器に用いられている産業用のIoTに関しては「IIoT(Industrial IoT)」と呼びます。このIIoTは、生産設備やコントローラ、装置に取り付けたセンサなどのハードウェアにインターネット接続するという仕組みです。

そんなIIoTの使い道は、主に「製造装置の稼働状況を監視すること」が挙げられるでしょう。仕組みとしては、情報システムで行われるサーバ稼働監視と変わりません。製造装置にセンサを装着させ、信号を収集してから監視用のサーバによって随時分析します。もし、製造装置が停止していたり速度が低下していたりする場合には、監視コンソールへの警告表示や信号灯の灯火などを行う仕組みです。

このIIoTを用いた稼働監視は、決して簡単なものではありません。例えば情報システムの場合、SNMP(Simple Network Management Protocol)のように標準の監視方式が存在しているので、機種が異なっていたりメーカーが異なっていたりしていても、同じ方式の稼働監視で問題ないのです。

しかし、生産設備においては監視方式に「標準」となるものが存在しません。最新の生産設備であれば稼働状況のデータをデジタルで外部に送信できますが、古いタイプの生産設備の場合は、電圧や回転数などをアナログで出力しなければならないというケースも少なくないのです。また、稼働状況を信号として抽出できないケースもあります。そして何より、生産設備は基本的に「数十年という長い期間使い続けること」を前提に導入・運用されているため、短期間で入れ替えることも非常に難しいのです。

 

■後付けのセンサを導入することで古い生産設備でも異常検知が可能に

■後付けのセンサを導入することで古い生産設備でも異常検知が可能に|人工知能を搭載した製品・サービスの比較一覧・導入活用事例・資料請求が無料でできるAIポータルメディア

その難しさを解消するため、最近のIIoT対応稼働監視ソリューションでは、音や光、熱、振動といった現象を検出するセンサを取り付けることで、センサからの信号を解析するという方式が採用されています。こういった種類のセンサであれば、生産設備の動作に影響を与える心配もありません。そのため、すでに稼働している生産設備であっても気軽に装着できるのです。これは「古いタイプの生産設備を使用しているものの、異常検知による業務効率化を図りたい」といった企業にとっては、大きなメリットといえるでしょう。

基本的に、センサを使用した稼働状況監視ソリューションは、生産設備に異常が発生した場合「音」「振動」といった波形に変化が生まれる性質を活用して監視を行う仕組みです。そのため、通常時とは異なる周波数の音を確認できた場合には、軸受けの摩耗が起きている可能性があることを察知できます。また、通常よりも明らかに高い(低い)温度を確認した場合には、冷却系の設備に故障が起きている可能性を察知できるわけです。

ただし、こういった形での異常検知において重要なのは、「どの程度の変化を異常と定義するのか」という点です。ただ動作の有無を確認するだけであれば、信号が限界値やしきい値から外れてしまっていないか確認するだけで問題ありません。

そこで最近新たに活用されるようになったのが、人工知能(AI)です。AIを用いることによって大きく変化するのは、高度な解析手法である「高速フーリエ変換(FFT)」のように、限界値やしきい値を事前に指定しておく必要がないという点にあります。平常時のデータや異常時のデータをAIに学習させていくことで、より最適な限界値やしきい値をAIが自動で定めてくれるのです。

AIは大量のデータを分析し、予測を立てていく作業を得意としているため、当然そのデータ量が多くなるにつれて予測の精度が高まります。つまりAIを活用することで異常検知の精度もさらに高まっていくわけです。

 

■平常時の波形データを学習するだけで異常検知を実現するAIも

とはいえ、データを収集することは決して簡単な作業ではありません。平常時のデータを大量に収集することは簡単かもしれませんが、異常は頻繁に起こるものではないからです。

しかし、そんな「異常時データの不足」という多くの企業が抱えるであろう課題を解決するためのAIもすでに生まれています。それが、東芝が2018年に発表した「One-Class Learning Time-series Shapelets(OCLTS)」というAIです。機械学習によって生産設備の異常検知を行う精度を従来比9%向上し、異常を判断した根拠も提示できるといいます。

この(OCLTS)が平常時データだけで異常検知を行うことができるのは、短期間にAIが大量のデータを学習できるからに他なりません。これまでの技術では、時系列の長さの二乗分計算量が必要でしたが、(OCLTS)であれば時系列の長さの一乗分まで削減できます。そのため、より短期間に学習することができ、異常データを学習していなくても設備の異常を検知できるのです。

そして何より、生産設備を向上させていくためには、異常を判断した際に「根拠」が求められます。その根拠をしっかりと示せるという点も、この(OCLTS)の大きな特徴といえるのではないでしょうか。

高い生産性を求められる工場において、設備の異常はもっとも避けなければならないものです。なぜなら、たったひとつの異常が生じるだけで、工場内のすべての作業が中断されてしまう可能性もあるからです。そのような事態を避ける上でも、高い精度の異常検知システムは必要不可欠といえるでしょう。

つまり、IIoTを活用した生産設備は、工場の稼働率向上やコスト削減を進める上で極めて大きな役割を担っているということです。こうした点を踏まえると、今後のIoTやAIがどのような発展を遂げていくのかといった点には注目していきたいものです。

(参照:NTTテクノクロスブログ 「工場×IoT」が進化中。故障発見からAIによる予兆検知へ)
(参照:MONOist(モノイスト) 正常時の波形データ学習のみで異常検知するAI、工場現場などでの適用目指す)

 

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