日本の企業における長時間労働が問題視されたことから、近年では「働き方改革」として労働時間が見直されるようになりました。しかし、長時間労働が禁止されたものの一人ひとりの仕事量が削減されず、結果的に残業代なしで業務をこなさなくてはならない状況に陥っているケースも少なくありません。
そんな中で、業務の効率化につなげられる手段として注目されているのが、AI・人工知能を活用した業務の自動化です。最近ではさまざまな業務を効率化するAIツールがリリースされており、その中でも特にOCR(光学的文字認識)はAI活用の効果が発揮されている技術として注目を集めています。
今回は、現在多くの企業がリリースしているAI-OCRの機能や特徴をそれぞれ比較していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
■AI-OCRとは?
冒頭でも少しご紹介しましたが、OCRとはOptical Character Recognitionの略で、日本語では「光学的文字認識」と呼ばれています。紙媒体に印刷された文字や手書きの文字などを読み取り、コンピューター上で利用可能な情報にデジタル化するツールです。
紙媒体の文字情報を読み取る場合、デジタル情報に変換するわけですから、WordやExcelといったソフトでの編集も行えるようになるというメリットがあります。
そんなOCRですが、AIの技術を取り入れたAI-OCRになるとどのような特徴があるのでしょうか。その大きな特徴として挙げられるのは、「文字枠を設けなくても正確に読み取ることができる」という点です。
通常のOCRでも手書き文字を読み取ることは可能ですが、ルールから逸脱してしまうと読み取れなくなってしまうという弱点がありました。申込書などで一般的に用いられている「文字枠」の中にしっかりと文字を収めなければならなかったのです。
その点、AI-OCRは「機械学習」や「深層学習(ディープラーニング)」を行っていくため、あらかじめ決められたルールに則って文字を読み取るのではなく、過去に蓄積された学習データに基づいてルールを見出し、文字の読み取りを行っていきます。
そのため、人それぞれ特徴が異なる手書き文字であっても、特に文字枠を設けることなく正確に読み取ることができるわけです。当然、これを実現するためにはAIが学習するためのデータが必要になるわけですが、そのデータさえ蓄積していけば精度はどんどん高まっていくことになるため、長期的なメリットは極めて大きいといえるのではないでしょうか。
■AI-OCRの機能や特徴を比較して見極めよう!
このように多くのメリットがあるAI-OCRですが、現在は多くの企業がAI-OCRをリリースしており、それぞれ機能や特徴は少しずつ異なります。自社にとって最適なAI-OCRを導入するためには、それぞれのAI-OCRの機能や特徴をしっかりと把握した上で比較検討していくことが大切です。ここからは国内の代表的なAI-OCRをご紹介していきますので、それぞれのAI-OCRがどのような特徴を持っているのか参考にしてみてください。
・AI-OCRの比較1:LAQOOT(Automagi株式会社)
Automagi社が提供しているLAQOOTは、活字だけでなく手書き文字であっても「理論上100%のデータ化精度」を実現しているAI-OCRです。一般的なAI-OCRはデータ化をした後に目視による確認が行われます。しかし、LAQOOTでは独自のプロセス(AI-OCR+ヒトによる判定、修正)によってAI-OCRのデータ化内容をチェックし、修正する作業までのデータを確認することができるため、利用者の手間を最大限削減することができるのです。
また、LAQOOTはクラウド型の提供方式であるため、AI-OCRが必要になったその日から利用できるという点も大きなメリットといえるでしょう。もちろん、24時間365日いつでも活用できるため、必要なときにLAQOOTへのアップロードを行えばすぐにデータ化をすることが可能です。
・AI-OCRの比較2:ReiWorQ AI-OCR(スターティアレイズ株式会社)
スターティアレイズ社が提供しているReiWorQ AI-OCRは、「手書き書類をAI-OCRで読み取り、データ化する業務」をRPAによってさらに効率化できるのが特徴のAI-OCRです。ReiWorQ AI-OCRは、システムに慣れていない方でも簡単に操作可能なユーザーインターフェイスであることが大きな特徴で、手書き文書を手軽にデータ化することができます。
もちろんディープラーニングが搭載されているため、使用していくにつれて読み取り精度が向上されていき、乱筆文字でも正しく読み取ることができるようになります。
また、RPAとの組み合わせによって手書き書類を取り扱う業務の自動化を図ることも想定したツールであることも大きな特徴といえるでしょう。スターティアレイズ社では自社RPAツールもリリースしているため、そのRPAツールも併せて活用することで、データの入力業務まで自動化させることができるわけです。
これにより、人の手で行っていたデータ入力作業を大幅に減らすことができるため、よりコアな業務にリソースを集中させられるようになります。
・AI-OCRの比較3:紙帳票業務自動化ソリューション「BPA2」(NDIソリューションズ株式会社)
NDIソリューションズ社が提供する紙帳票業務自動化ソリューション「BPA2」は、AI画像認識技術を活用した「BPA(Business Process Automation)2」によって、紙帳票の仕分け作業を自動化することができるAI-OCRです。
AI-OCRのサポートだけでなく、連携するRPAなどのソリューションの構築や運用サポートなども提供しているため、これから紙帳票の業務全体を自動化させていきたいという企業にぴったりのサービスと言えるのではないでしょうか。
■AI-OCRが労働環境を大きく変える
今回ご紹介してきたAI-OCRは、RPAと同じようにこれまで人の手で行われてきた業務の自動化を実現させられるツールであることがお分かりいただけたかと思います。また、RPAと併せて活用していくことを推奨している企業も多いため、いかにRPAと併せて活用できるかどうかという点は、業務効率化を進める上での大きなポイントといえるのではないでしょうか。
AI-OCRを導入し、担当者の負担を軽減させることができれば、社内の雰囲気も明るくなりよりモチベーションに満ち溢れた環境に改善されていく可能性もあります。そういった環境作りこそが、社員一人ひとりを成長させ、結果的に業績の向上へとつながっていくものといっても過言ではありません。紙文書の業務を自動化させていきたいとお考えの際は、ぜひAI-OCRの導入を検討してみてはいかがでしょうか。